「 京都ポークとフォワグラのロッシーニ風 & シャトー グラヴェ・エネ 」

★お勧めグラスワインとお料理のマリアージュ
CHATEAU PETIT GRAVET AINE '14 (St-Emilion) ¥ 2,300
シャトー プティ グラヴェ エネ (サンテミリオン)
今回は、2014年の「ボルドー」の生育状況に注目したいと思います。芽吹きが早く3月下旬にはすでに一部のメルロー種は芽吹き、昨年より3週間早くなりました。4月、5月もおおむね順調。6月8日に「メドック」北部で雹が降り、場所により被害を受けますが、その他の地区では花付きも上手く行き、まずは収量が上がりそうとの予想が付いたそうです。「ヴェレイゾン」というブドウの実の色付きが例年よりも早く始まりますが、そこからの天候がとても悪くなります。8月の降水量は記録的なもので、また温度も上がりません。通常、1週間もすれば、すべてのブドウの実が色付き、収穫を待つ感じになりますが、2014年はこの「ヴェレイゾン」の期間が3週間、酷いと5週間もかかってしまいました。ブドウの房が均等に熟さず、この段階でかなり厳しい選果をしなければならない事が決定します。雨ばかりだったバカンスを過ごした後の9月1日から突然天候が回復します。9月一か月間で7mmしか雨が降らないという好天になり、ブドウは急速に熟します。
水はけの悪い土壌では夏の間の多雨でブドウの実が水分を吸いすぎて破裂してしまうものもあり、そこからバクテリアが入ってしまう現象が見受けられます。外から見ると綺麗なのですが、内側から侵されてしまい糖度が上がりません。またこのようなブドウは、最新の光学式選果台でも取り除くことは出来ません。とある「サン・テミリオン」のシャトーは夏の間のブドウの状態を見て、すぐに別タイプの選果台を発注されたそうで、比重式選果台とでも言うのでしょうか。原理は、除梗したブドウの粒を砂糖水の入った桶に入れます。完熟したブドウは沈み、次の破砕の行程へ、浮いたブドウは比重が軽く熟していないとの判断で取り除かれます。「ヴェレイゾン」のこともあり今年はこの機械をつかえたシャトーはとても良い選果が出来たみたいです。
「シャトー・プティ・グラヴェ・エネ」は、「サンテミリオン」教会から車で15分ほどの粘土質と砂質の土壌からなる丘の斜面に畑は位置し、2.7haの区画で年産3000本と本当に貴重なワインとなっております。最近の評価も高く“パーカー”や“ミッシェルベターヌ”が高評価を出してからは入手困難ワインのひとつとなりました。プリムール2003年は、「シャトー・ヴァランドロー」より高い評価を得て100%完売となったようです。
「ボルドー」ワイン委員会で醸造学者として活躍してきた女性醸造家、Catherine Papon Nouvel(カトリーヌ・パポン・ヌーヴェル)女史が醸造を担当しています。ワイン造りのポリシーは、「量よりも質」。葡萄畑を重視し、畑での多くの入念な仕事を手作業で行っています。収量は彼女が担当する前の約半分(25hl/ha)。畑の自然の摂理に従い化学肥料を一切使わず、平均樹齢50年の質の優れた葡萄を低収量収穫し、厳選することで、葡萄本来の味わいを表現しようとしています。
ブレンド比率はカベルネ・フラン種80%、メルロー種20%、色調は非常に濃いガーネット。コーヒー、スパイス、たばこ、に腐葉土の香りも混じる。黒い果実の柔らかな凝縮感、非常に骨格のしっかりした味わい。しなやかで緻密なタンニンと酸のバランスが素晴らしく、新樽100%で18か月間行われる熟成による樽のアクセントが心地良く、余韻も非常に長い
今月のマリアージュのお相手は「京都ポークとフォワグラのロッシーニ風 ペリグー・ソース」をおすすめします。京都ポークのロースをソテーし、フランス産の鴨のフォアグラのソテーと重ね合わせ、黒トリュフのペリグーソースを添え、ロッシーニ風に仕上げました。ジューシーで旨味のある京都ポークと濃厚ですがくどさを感じさせない鴨のフォアグラが黒トリュフの風味と三位一体を形どり、贅沢な一皿となりました。やはり、ここはスパイシーで、しっかりした骨格を持った「サンテミリオン」、近年はカベルネ・フラン種が本当によくなりました。タバコや腐葉土の芳醇な香りと黒トリュフの香しさは最高のマリアージュとなりました。是非、お楽しみ下さいませ!!。
(2020.8.01[SAT])